2014年10月25日

最強塩基

だいぶ前のことになるが、埼玉県ときがわ町にある都幾川温泉に行った。ときがわ町は私の実家がある町の隣町で、電車で一旦実家に行ってから車を借りて温泉まで運転した。都幾川温泉は日本最強のアルカリ性の温泉で、 pH11.3もある。化学の実験で使う水酸化ナトリウム溶液が確かpH12ぐらいだから、それに匹敵するレベルの強塩基。

入る前に温泉分析書を読むと、陽イオンはNaとCaがほぼ50%ずつで特記すべきことはないが、陰イオンは炭酸イオン(炭酸水素イオンではない!)が75%ほど、水酸化物イオンが25%ほどで、見るからに溶けそうな内容であった。実際、湯に入ると、途端に肌がつるつるになった。北海道最強のアルカリ泉であるオソウシ温泉(pH10.28)はベトベトする感じがあったが、こちらは意外にあっさりしている。オソウシ温泉はフッ化物イオンやマグネシウムイオンが入っていたのが違いの理由かもしれない。


都幾川温泉は湧出量が4l/minと非常に少なく(因みに湧出量から見た「いい温泉」の目安は、湧出量(l/min)を1日の入浴人数で割った値が1以上のものである。この「一人当たり湧出量」が10を超えるものは非常に素晴らしい)、泉質を維持するために入浴は完全予約制で1日4組限定であっ た。料金は温泉にしては非常に高いが、なかなかの水準の食事(岩魚の塩焼きが美味であった)もついているし、貸切だし満足の行く内容であった。部屋には立体パズルが置いてあって、成功すると柚子ジュースがおまけでもらえるが、パズルへの興味と吝嗇根性で風呂の後直ちにそれに取り掛かり見事ジュースを頂いた。


高いので当分は行かないと思うが、温泉マニアには是非お勧めする。



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posted by Alexis at 06:31 | 温泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月26日

国見温泉

盛岡に出張で行く機会を持った際、盛岡からそう遠くないところに温泉があるので、レンタカーを確保して温泉宿に泊まった。選んだのは、いずれも日本秘湯を守る会会員の、鉛温泉藤三旅館と、国見温泉石塚旅館であった。鉛温泉は岩風呂が頗る趣があったが、お湯自体は単純泉で特筆すべきことはなかった。

度肝を抜かれたのは国見温泉である。お湯の色が、エメラルドグリーンというかマジックリンというか蛍光がかった緑で、こんな鮮やかな色は初めてであった。源泉100%であるから湯を飲んでみると、塩加減と苦味のバランスがよく美味である。成分(ナトリウム、カルシウム、塩化物イオン、炭酸水素イオ ン、硫酸イオン、硫化水素など)がとても濃くて、露天風呂の底には泥状になった湯の花が沈澱していた。それにしても緑色が不思議で鉄(II)か銅が入って いるのかと思いきや、温泉分析書を見ると殆どゼロ。国見温泉の湯を卒業論文で分析したという理学部の学生によると、硫化水素のS^{2-}が黄色でカルシウムイオンがレイリー散乱を起こして青くなる(この辺は物理屋でないのでよく分からない)ので、それが合わさって緑になるらしい。国見温泉は、私が今まで入った数々の温泉の中で上位5位以内に入ると思う。

さて、旅行の醍醐味は温泉以外にも食事がある。盛岡と言えば冷麺だが、じゃじゃ麺というのもある。初日の昼食はじゃじゃ麺にしようと思ったが、行こうと思っていた有名店が大混雑で昼休み中に食べられないと判断し、調べてあった別の冷麺を食べた(味は普通)。二日目はじゃじゃ麺が閉店であったので更に別の冷麺を食べたが、西瓜が入っていてなかなか美味であった。

最終日の三日目は、じゃじゃ麺に勝負をかけた。早足で店に着くと、一軒おいて並んでいる本店と分店のどちらも5人ほど並んでいる。私は分店の方に 並んだが、分店の列は殆ど動かないのに本店の方が進んで衝撃であった。(この頃には既に本店にも並んでいる人が増えたから、列を乗り換えるわけには行かなかった。)イライラしながら30分以上待ち、席に着いた時点で仕事開始まであと20分しかなかった。しかも、周囲の客も食べている人が少なかったので、これから注文し、品物を待ち、食べ、8分かけて仕事に戻るのは非現実的と考え、諦めて店を出てマクドナルドに行った。

全く、店の経営能力の欠如に発狂しそうだった。まず、規模の経済を考えるならば2店舗ではなく大きな1店舗にすべきだ(こうすれば、麺を茹でる人 も鍋も一つで済む)。2店舗であっても、どちらの列に並ぶかで迷わなくていいように、(銀行のATMなどのように)フォーク並びの原理を使うべきだ。更に、並んでいるうちから注文を聞いておき席に着いた瞬間に食べられるようにするべきだし、レジ係と接客は分離して効率的に客捌きをすべきだろう(或いは、 食券制にするとか)。そもそも、行列ができるということは需要が供給を上回っているのだから、値上げすべきだ。並盛り450円というのはどう考えても安すぎる。


posted by Alexis at 00:00 | 温泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月18日

道南での湯治

子供が生まれる前はしばしば妻と週末に遠出をしたものだった。これは道南に出かけた際の記録である。

道南は流石に道東から遠いだけあって、北見に住んでいた頃には一度も訪れることはなかった。この時は、JALのキャンペーンで無料航空券が当たり、使用期限が迫っていたので、暑い南よりも涼しい北が好ましいと考え、北海道のまだ見ぬ道南に行くことにした次第である。

普通の観光に飽き足らなくなっている我々は温泉のことしか考えず、函館空港でレンタカーを借りてまず湯の川温泉の公共浴場、日の出湯に向かった。ここは友人から風呂場に入ると人間がトドのように床に寝そべっている、と聞いていた。実際行ってみると、湯船が二つあり、奥は摂氏42度だが手前は46度。とんでもなく熱くて、入ったら動けなくなる。それ故に湯船に人がおらず、暖かい床に人が寝そべっていたのか、と納得した。泉質はNa, Ca, Cl, SO4, CO3などで頗る濃く、湯船のへりには棚田の如く成分が析出している、素晴らしい湯であった。

2番目に向かったのは水無海浜温泉。恵山の麓にある海沿いの無料露天風呂で、絶好の位置にあるのだが、我々が行ったときは丁度干潮で水位が低く、熱くて入ることができなかった。太平洋の沿道で鮨を食べる。

3番目は大船上の湯温泉。乳白色の食塩硫化水素泉で、外見も美しいが肌触りが滑らかで、飲んでも美味しい。泉質だけだったら、今回の温泉の中で最高であった。

4番目は濁川温泉。北海道で唯一の地熱発電所のある場所で、盆地の至る所から温泉が出るという。湯は茶色がかった含硼酸土類食塩泉で、すべすべした肌触りである。朝が早かった所為か、析出した成分で鍾乳洞のようになった床の上に寝そべって寝てしまった。

5番目は銀婚湯温泉。含芒硝食塩泉で、塩味が濃くて少ししか飲めないが、ほのかに石油の匂いがして屈斜路コタン温泉を彷彿させる。我々はここに宿泊したのだが、夕食前後と翌日の朝食前と満喫した。ここの宿は安い上に食事も美味しく、非常に満足であった。

6番目は奥美利河(オクピリカ)温泉。山中の辺境の地にあり、秘湯の名に相応しい。炭酸水素カルシウム泉という珍しい泉質で、浸かっていると底から二酸化炭素の泡が湧き上がって来る。38度のぬるめの湯でこれまた素晴らしかった。出ようとすると蛇が現れて驚いた。

7番目は見市温泉。鉄を含んだ食塩泉で、新緑の川沿いにあり眺望が素晴らしい。温泉自体もすべすべしてよかった。この後に江差で鰊蕎麦を食べた。

最後の8番目は知内温泉。紀元1247年に開かれたという知られている限り北海道最古の温泉らしい。鉄鉱泉、明礬泉、食塩泉の3種類があるようだが、3つの風呂場が独立しており、時間の関係で2つしか行けなかったのが心残りだが、最後の温泉に相応しい、柔らかないい湯であった。今回行った温泉は星5つか4.5ばかりで素晴らしかった。快晴のため、津軽湾の対岸には下北半島と津軽半島が見えた。

思い残すところはないといった気分で函館に戻る。夕食はラッキーピエロという函館限定のハンバーガー屋で鯨バーガーを食べ、また定番のソフトクリームを頂いて東京に戻った。
posted by Alexis at 09:31 | 温泉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする