2014年12月03日

アメリカ人の舌と私のそれ

Yaleに留学で来た当初、数週間はホテル暮らしをしていた。
このホテルの夕食は大抵、ハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、コーラというjunk foodであった。不味い訳ではないが、満足からは程遠い。
私はこれまでチリ料理が世界で最も不味い食事だと思っていたが、アメリカもそれに比肩し得る。私は、料理が不味いのは外食産業が内需産業だからだと思っていた。日常的な外食は国内で済ませるため、海外との競争がなく食事文化が発達しないことがあるというのが私の従来の理論である。
ところが、アメリカはチリと違って移民が多いので、食事に関しても実質的に海外と競争があり、この理屈は通用しない。
では何故不味いのかという問いに答えようとすると、価値観の相対性原理しか思いつかない。即ち、そもそも味覚は主観的なものだから、アメリカの料理一般が不味いのではなくてアメリカ人の平均的な味覚と私のそれとが懸隔しているという訳である。
それとも、プロテスタントがカトリックと比較して禁欲的だ(或いは、禁欲を美徳としている)からなのか?
イギリス料理、ドイツ料理、イスラエル料理が不味い(らしい)のもこれで説明可能だ。そういえば、カトリックのフランス料理、イタリア料理、スペイン料理は美味しいと思う。ついでながら、料理の美味いフランス、イタリア、スペインがローマ帝国で、不味いイギリス(北部)、ドイツが蛮族の地であったのが面白い。
posted by Alexis at 06:40 | 小話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月06日

質流れ商品

街はクリスマスモード一色となりつつあるが、私にとってクリスマスは特に特別な意味をもっていない。しかし、クリスマスが近づくと思い出す話がある。
水商売のお姉さんは誕生日やクリスマスなどの機会に、全ての顧客に全く同じプレゼント(例えばプラダの特定のバッグ)を貢いでもらうことを要求する。N人が要求に答えたとすると、プレゼントは1つだけ自分のものにして、残り(N-1)個は質屋に入れてしまう。こうすると、どの顧客にも「このプレゼント買ってくれて有難う揺れるハート」と言うことによって相手をいい気分にさせ(そしてもっと貢がせ)ることができるが、同時に流動性が増えて一石二鳥というわけだ。

先日、友人と会話をしていたら、彼はある法則を見つけたと言った。曰く、街における風俗店の数、質屋の数、ブランドショップの数は互いに相関していると。

そこで私はピンと来た。つまり、顧客はブランドショップでブランド品を買って水商売のお姉さんに貢ぐ。水商売のお姉さんはそれを質屋に売る。それを知っている風俗店、質屋、ブランドショップは輸送費などの取引コストを減らすために互いに近接して立地するので、それらの店舗数が相関するのだと。全く、経済理論は世の中をうまく説明するなぁと感動した。 最も、水商売のお姉さんがこういったことを本当に行っているか、という真相は不明だが。

ところで、数年前、小学校5年のときに5800円で買った腕時計に別れを告げて、御徒町の質屋にて某ブランド腕時計を買った。新品同様のものが定価の6割ぐらいの値段で買えた。この腕時計はどんな運命を辿ってきたのだろうか…?
posted by Alexis at 15:23 | 小話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月12日

合理的な暦

今はそれほど痛感しなくなったが、常勤で医師をやっていた頃は暦の不合理性が気になった。どのように不合理かというと、

  • 毎月の日数は異なる(従って労働日数も異なる)のに、月給は同じである。

  • 患者は曜日に殆ど関係なく発生する(例外は、正月に餅の誤嚥が多いなど)のに、病院は平日しか営業しておらず、休日も当直やオンコールなどをしなければならない。


という点などである。後者の対策としては、病院に勤務する医師を曜日と無関係な交替勤務制にすればよいので、大きな問題とはならない。しかし前者は比較的深刻な問題で ある。毎月の日数が異なるのが問題ならば、給与を月給制でなく年俸制にすればよいが、中途退職や採用が発生すると給与計算が面倒だ。一方、日給制にすると、出勤簿の管理が面倒だ。(忙しいし勤務時間が不規則だから、殆どの人がタイムカードを押すのを忘れるだろう。)

そこで、前者の問題を解決する1つの方法としては、毎月の日数をほぼ一定にすることが考えられる。うるう年でない場合は年365日あり、 365=13*28+1=13*4*7+1であるから、1年を13ヶ月に分け、各月は7日を1週間とする4週間からなるようにし、余りの1日を適当に処理すればよい。 各月の名前は次のものを提案する。今まで7月(英語でJuly)はローマのJulius Caesarに、8月(英語でAugust)はローマ帝国初代皇帝のAugustusに由来するから、カエサルに敬意を払って、


  • 元旦:カエサルの日(夏至か冬至に設定するのが自然であろう)。

  • 第1月:アウグストゥス月、28日。

  • 第2月:ティベリウス月、28日。

  • 第3月:カリグラ月、28日。

  • 第4月:クラウディウス月、28日。

  • 第5月:ネロ月、28日。

  • 第6月:ヴェスパシアヌス月、28日。

  • 第7月:ティトゥス月、28日。

  • 第8月:ドミティアヌス月、28日。

  • 第9月:ネルヴァ月、28日。

  • 第10月:トライアヌス月、28日。

  • 第11月:ハドリアヌス月、28日。

  • 第12月:アントニヌス・ピウス月、28日。

  • 第13月:マルクス・アウレリウス月、28日。


これで365日である。うるう年に1日多くなるのはマルクス・アウレリウス月の最後に1日補えばよいであろう。このように命名すると、面白いこと にローマ帝国の創始から最盛期に至るまで主要な皇帝を網羅する。(紀元69年に相次いで登位し殺害されたガルバ、オトー、ヴィテリウスはマイナーだから省略してもよいであろう。)

この「合理的暦」の利点は幾つかある。

  • 毎月28日が7の倍数なので、特定の日にちが何曜日かが7で割った余りを考えることで瞬時に判断できる。

  • 月の名前がローマ帝国皇帝の時系列なので、ローマ史の勉強に役立つ。(少なくとも、語源を知ることにより世界史に興味を持つ。)

  • 1年がローマ帝国の勃興から最盛期までを再現するので、大晦日になって「これからローマ帝国は没落していくのだ」と憂鬱にはなるが、除夜の鐘を聞き、日付が変わってカエサルの日になるとともに、振り出しに戻って「ローマとともに私も頑張ろう」と前向きになる。

  • ローマ帝国は、仏教とイスラム教の生まれる以前に崩壊しているので、「合理的暦」の採択に当たって仏教徒やイスラム教徒が反対する根拠がない。


欠点もある。

  • ネロはキリスト教徒を弾圧したことがあるので、キリスト教徒は「ネロ月」の設定に反対するかもしれない。

  • ヴェスパシアヌスはエルサレムを攻撃したので、ユダヤ教徒は「ヴェスパシアヌス月」の設定に反対するかもしれない。

  • 殆どの皇帝がゲルマン人と戦争をしているので、ドイツや東欧の人々は反対するかもしれない。



結局、月の名前をローマ歴代皇帝にするという案は、国際的には受け容れられないだろう。妥協して1月から13月までと(中立的に)数字にしてもよいが、やや無味乾燥だ。

ちなみに上記の人物たちはこのローマ人の物語シリーズの本を読むと出てきますので、参考まで。

posted by Alexis at 15:08 | 小話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする