2015年05月03日

入試業務2

GREとTOEFLの足切りを切り抜けた願書を我々がどう判断するかであるが、見るべきポイントは大きく分けて
  1. 数学の授業をどれだけ取っているか
  2. 大学の成績
  3. 推薦状
  4. Statement of Purpose (志望理由などを書いた作文)
  5. Writing Sample (論文・レポートなどを添付してもよい)
の5つ。以下、それぞれについて詳しく述べよう。

願書を送る際、大学の成績とは別に、今までに受講した数学・統計学・経済学の授業(とそれぞれの成績)の一覧表を作成することを求められることが多い。これは、これらの科目の成績の良し悪しが大学院の授業について来られるか、またどれだけ大学院に進学する準備ができているかの判断材料になるからである。大学院に応募する以前に数学の準備をすることは非常に重要である。最低限解析と線形代数は取っていないと、"limited math background"と言われてそれだけで不合格になりかねない。応募者の中には微分方程式・偏微分方程式・測度論・関数解析・複素解析・位相空間論・代数など受講している者もいる。ここまでする必要はないが解析・線形代数プラスアルファを受講しAを取ろう。(ちなみに経済学で使う数学は解析・線形代数・測度論・関数解析・位相空間論でほぼ十分。代数はほとんど関係なく、微分方程式・偏微分方程式・複素解析もあまり使わない。それよりは凸解析や動的計画法など応用数学の方が価値がある。)

大学の成績は非常に重要である。ただし、全体的な平均点よりも、数学・統計学・経済学の重要科目できちんとAを取る方が重要だ。Aのとりやすい科目ばかり取っても数学がおろそかだと"taking lots of garbage class"(口の悪い同僚の言葉)と言われかねない。ちなみに私は医学部に在籍していた関係で、いわゆる重要科目は取っていなかったし、大学の成績もB, Cばかりであった。それでも合格できたのはおそらく教養課程の数学(解析・線形代数・微分方程式・微分幾何学・統計学)が全部Aだったことと、東大の修士に2年間在籍して大学院レベルの経済学の授業を受講してAを取ったからだと思われる。

推薦状も重要だが、内容よりも形式の方が重要だ。推薦状を書いてくれる教官は書くことを承諾した以上、きっとあなたのことを高く評価しているだろうが、それをどう文章にするか。ポイントは「客観的に、具体的に、簡潔に」だ。我々選考委員は皆忙しく、300の願書に添付される900の推薦状をじっくり読んでいる時間などない。「この学生はクラス何人中何番だった」「この学生は過去どこどこの大学院に進学した誰々と同程度」など具体的に書くと、他と際立つ。東大生が留学で有利なのは、もともと多くの東大生が留学しており推薦状を書くのに比較対象があるのが大きい気がする。一方「この学生はまじめで、熱心で、」などと抽象的に書いても全く無意味だ。また、推薦状の内容もさることながら、誰に推薦状を書いてもらうかもよく考えた方がよい。国際的に知名度のある教授が強く推薦する学生は当然有利だ。一方、知名度のある教授が「この学生は中程度」と書いたら不合格は確実なので、推薦状を頼む前にどの程度の強さの推薦状を書いてもらえるか相談してもよい。

Statement of Purposeはあまり重要ではない。私の場合、数学の成績・大学の成績・推薦状だけ見て判断してしまうことが多い。それらを見ても何の手がかりがないときにのみ、Statement of Purposeに目を通すことがある。ただし、ある同僚は推薦状は退屈なのでStatement of Purposeこそ見るのだという。

Writing Sampleもそれほど重要でない気がする。まだ大学院に進学していないのに高度な論文が書けるとは誰も期待していないからである。Writing Sampleを添付するかどうかは任意であることが多いので、力作があれば添付してもよいが、駄作しかないなら添付しない方がよいのではなかろうか。聞いた話だが、今年Yaleに合格した学生が、剽窃を理由に合格を取り消されたそうだ。当然のことながら剽窃は命取りなので絶対してはいけない。
posted by Alexis at 12:18 | 学習関連の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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