2015年06月04日

帝王切開の由来

私は大のローマ史好きである。特にユリウス・カエサルは尊敬している政治家の1人である。

ところで、最近久しぶりに医学に触れる機会があったので、医学関連の話を書いてみようと思う。

帝王切開はラテン語ではsectio caesarea. ”sectio"も”caesarea"も「切る」という意味がある。これが「帝王」に変わってしまったのには次のような理由があるらしい。

”caesarea"の部分はカエサル(Gaius Julius Caesar)が有名になりすぎてしまったために後世の人がsectio caesareaを「カエサル切開」だと思ってしまった。カエサルはローマ共和国をローマ帝国に改革する道筋をつけた人なので、カエサルの名はその後「皇 帝」を意味するようになった。(例えばラテン語の軍事責任者Imperatorが「皇帝」を意味する英語のemperorやフランス語のempereur になり、カエサルCaesarが「皇帝」を意味するドイツ語のKaiserになった。)
最後に、日本がドイツから医学を輸入したときにラテン語 sectio caesareaのドイツ語訳のKaisersnittを「Kaiser=皇帝」、「snitt=切る」から「帝王切開」とそのまま訳してしまった。ラテン語に戻った正しい訳は「切開切除術」の如くか。そこまで戻らなくても「カエサル切開」の方が格好がいい気がする。

因みにカエサルが帝王切開で生まれたから帝王切開のことをsectio caesareaと称するという俗説があるが誤りであろう。カエサルの母アウレリアは長寿を全うしたが、抗生物質のない時代に帝王切開のような侵襲的な操作を受けて生き残れるはずがないからだ。
posted by Alexis at 14:49 | 小話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
ブログパーツ