2015年04月07日

国籍はいかに?

日本に住んでいた頃、しばしば行く食堂で食事を摂っていたら、隣の席にいたグループに「箸の持ち方が上手ですね」と言われたことがある。そしてその直後に典型的な質問をされた:「失礼ですがどちらのご出身ですか?」箸の持ち方の話題に戻って、グループの一人が「最近は日本人でもこう持ったりこう持ったり正しくない人もいるんですよ」などとご丁寧に解説してくれる。私は苦笑しながら傾聴し、食事を済ませて飄然と店を出た。

(箸の「正しい」持ち方が定義されていると仮定して)「正しく持たない人が存在する」ことだけを主張したいなら、「最近」かどうかは本質的ではない。更に蛇足を付け加えれば、恐らく昔も箸を「正しく」持たない人がいたので、グループの一人の主張は「かつては箸を正しく持たない人は皆無であったが、最近は正しく持たない人が存在する」ということではなかろうかということです。(が、実際は昔も箸を正しく持たない人はいた。)

「日本語が上手ですね」は比較的多い指摘だが(因みに昔カナダでも「フランス語が上手ですね」と言われたことがある。今は移民も多くなったからそんなことは言われないと思うが)、箸の持ち方の指摘は初めてだった。いちいち事情を説明するのも面倒なので、最近は「日本暮らしが長いものですから…」などと答えている(決して嘘ではない)。他にも、街でいきなり英語で話しかけられることがあるが、その場合も英語のまま応対して立ち去るようにしている。

また、上野から新幹線に乗ろうとした時のことだ。出発時刻の15分近く前に駅に着いてしまい、もう現金が殆どなかったので、この時間を使って銀行に行って現金を下ろそうか、或いはこのままプラットホームに行こうか迷っていたとき、茶色のジャンバーを着た男が話しかけてきた。 右手に黒い手帳のようなものを持った男曰く、「すいません、人を待っているんですか?」どうせ宗教の勧誘か詐欺か何かだろうと思って相手にしなかったら、黒い手帳を私の眼前に突きつけて曰く、「インフォメーションカードを見せて下さい。」手帳には警視庁の巡査とある。このとき私は初めて警察手帳というものを見た。

「インフォメーションカード」なるものが何なのか分からなかったが、大方身分証明書のことだろうと思って運転免許証を見せた。彼は何度か裏表を見た後、「結婚されているんですか?」と聞いた。余計なお世話だと内心思いながら独身だと答えた。3秒ぐらいして、「私を怪しい外国人だと思った私服警官が、外国人登録証の提示を要求し、代わりに提示した運転免許証の名字が戸田という日本語だったから、外国人が日本人妻と結婚したのだろうと考えた」というストーリーが頭に浮かんだ。 全く余計なお世話だ。「旅行ですか」と聞かれたから(平日の朝から旅行に出掛けるほど暇人に見えるかと少々不愉快の念を催しつつ)出張だと答えると、お騒がせしましたと言うので、私は足早に自動改札を抜けた。

アメリカ暮らしは私にとって快適そのものである。というのも、特にここサンディエゴではアメリカ人を見つけるのがむしろ難しいほど、多人種で構成されているからだ。日本が移民を受け入れるにはまだまだ時間がかかりそうだ。
posted by Alexis at 13:45 | 小話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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